みなさんこんにちは! ZUMEN CTO の濱口です。
このブログでは、海外建設業界での BIM や AI についてのニュースを、米国・英国メディアの記事を中心に紹介しています。
そのテーマを探すためにたくさんの記事を流し読みしているのですが、その中で、おもしろい言葉を目にしました。
“Flying Superintendent”という言葉です。
みなさんは見たことありますか?
後半の “Superintendent” は「最高指導者」や「責任者」といった意味です。変わった言葉ではないですね。建設の分野では、現場監督という意味で使われることが多いと思います。
めずらしいのは、頭に「空飛ぶ」を意味する “Flying” がつくことです。
つまり、 “Flying Superintendent” =「空飛ぶ現場監督」……!?
厳しい現場監督がふわふわと飛んでいる不思議なイメージが頭に浮かびますね。
いったい、その正体は何なのでしょうか?
気になる「空飛ぶ現場監督」の姿は……こちらです!!
そう、みなさんお馴染みのドローンなのでした!
「空飛ぶ現場監督」を導入したのは、米建設大手ターナー。その舞台は、カリフォルニアの州都サクラメントにスポーツスタジアム「ゴールデン 1 センター」を建設するプロジェクトでした。
まず、 BIM で 3D の建設設計をしました。その結果できあがったスタジアムの 3D モデルを、いくつかに分割。各部分が、プロジェクトのフェーズに対応するようにしておきました。
そして工事が開始すると、ドローンの 3D レーザーカメラによる空撮で工事の進行状況を 3D モデル化。内部構造も同様に、ローバーで撮影し 3D モデル化しました。ここでは、 SfM(Structure from Motion) という画像認識の技術が使われています。
建設途中の 3D モデルは、分割された 3D モデルと比較することができます。
すると、工事がプロジェクト計画上のフェーズに合致しているか、遅れていたり、今後遅れるリスクが高いのはどのエリアなのかを分析することができます。
この分析は、いわゆるビックデータの文脈で「予測分析」と呼ばれる手法です。これも SfM と同じく、広い意味で AI のひとつですね。
こうした情報に加え、これまで活用が進まなかった BIM データへのアクセス、多くの関係者にを認めました。それにより、定例会議の運営や工程の管理など、多くの部分が効率化の効果が得られたといいます。
ターナーのゴールデン 1 センター建設計画は、建設を IT の視点から見る私たちにとって非常に興味深い事例です。なぜなら、
という、建設業界を現代化しようという取り組みが全部入りとなっていて、しかもそのどれもがお飾りではなく、活用し切られているからです。
しかし、これらの最新技術をここまで使いこなすのは、一朝一夕のことではなさそうです。
というのも、ターナーは 2002 年には既に BIM を導入していたといいます。ゴールデン 1 センター起工は 2014 年 10 月のことなので、12 年以上の運用実績があったのですね。
それから 20 年が経とうとしている今でも、日本の建設業界では BIM の採用に多くの課題が山積しているといいます。国交省が i-Construction を唱えるなど、徐々に導入の兆しは見えつつありますが、本格的に普及するには、もう一段階のブレークスルーが必要なのかもしれません。