BIM

海外住宅業界におけるBIM活用事例を紹介します

こんにちは。
ZUMEN の二上です。

海外の建設現場ではBIMの活用が進んでいますが、住宅業界ではどのような動きがあるのでしょうか?
今回は、イギリスの住宅関係会社によって作られた団体が、BIMの推進を行っているという記事を見つけましたので、ご紹介したいと思います。

Golden key could unlock Hackitt’s golden thread of BIM data

1. イギリスの住宅業界が抱えている問題とは?

イギリスの住宅関係の会社によって、”BIM in Housing”(以下 BiH, 住宅向けBIM)というグループが設立されました。
(会員:住宅組合メンバー、建築家、プロジェクトマネージャー、法律事務所、BIMコンサルタント)
BiHは、イギリスの国交省が第三者機関に依頼して発表した「建築と防火に関する規制についての調査報告書」で明らかになった問題に対応するために設立されました。
その問題とは、「住宅に関する資産情報が建物竣工後に失われてしまうこと」です。
資産情報とは主に設計図書の事ですが、紙やデーターで管理していても、必要な時にないケースが多々あります。
また、ここでいう「資産情報が失われる」とは、リフォームを行った際に、工事後の図面を管理していない為、最新の情報が失われるということも含まれます。
その根底にあるのは、建設業者が未だにアナログのPDFの図面に依存し、そのデーターの管理がしっかりできていない事で起きる問題だと言っています。
BiHは、資産情報管理、つまりBIMの活用によってこの問題を解決できるとしています。

2. 問題の解決方法としてのBIM推進

BiHは、BIMの推進を図るため、ワークショップを開いてノウハウを共有するなどして、住宅分野でのBIMの普及を推進する事を目指しています。
元請業者は、情報管理者やBIM担当者を雇用するために£100,000(約1300万円)を要しているとありますが、その費用がかかっても、標準化され、一貫したBIMのフォーマットで竣工後の資産情報を管理できることは業界にとって利点があると考えています。
また、工事中でも、BIMデータが行き渡れば、専門業者が元請け業者に図面データーを納品する際、図面内容に間違いがないか自らチェックできるようになれば、元請業者の負担も減ります。
BiH は、そうした自動チェックのツールを無償で提供しています。
例えば、設備業者が Cobieファイルを納品する際に、送信前に自動チェックして不備がないか確認することができるものを提供しています。
これはCobieファイルとしての不備だけでなく、そのプロジェクトでの要件に対しての不備を確認できるものと考えられます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、イギリスの住宅関係グループ”BIM in Housing”がBIMを推進しているという内容でしたが、英国政府も、リスクの高い住宅向け建造物にはBIMの利用を義務化したいと考えているようです。
一言に建設業界といっても、ゼネコン業界と住宅業界では扱う建物の規模が異なる為、抱えている問題は様々ですが、建物の資産情報管理については共通の問題と言っていいと思います。
日本でもBIMをもっと活用し、計画、工事中、竣工、竣工後まで資産情報を管理して、資産の有効活用をおこなっていきたいですね。

二上 祥

株式会社ZUMEN 代表取締役CEO

一級建築士、宅地建物取引士。島根県出身。
建設業界の現場で10年以上働いてきましたが、世の中IT・AI・働き方改革と、どんどんと新しい時代に入っているのに、まだまだ古い業界であるという事を日々感じています。

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