海外建設業界

海外の建設現場関係者必携のアプリ5本を紹介します

こんにちは。
ZUMEN の二上です。

みなさんは建設現場で使えるアプリと言えばどのようなものを思いつきますでしょうか?
日本の現場でアプリを使いこなしている人は、私も含めまだ少ないのではないかと思います。
今回は、イギリスの建設会社である、PlanRadar の共同創業者兼社長の Ibrahim Imam 氏が、建設現場関係者必携 Web アプリ5本を紹介しているので、ご紹介したいと思います。
海外の建設現場ではどのようなアプリが使われているのでしょうか。

Ibrahim Imam氏

Ibrahim Imam

PlanRadarの共同創業者兼社長のIbrahim Imam氏

1. OSHA Safety(大規模建設プロジェクトでの様々な規制が常にわかるアプリ)

OSHA Safety

これは大規模現場で活躍するアプリです。
大規模現場ではゼネコン職員数百人働いており、職人に関しては 1 日に何千人となることがありますが、その際の人の管理はとても大変です。
特に安全についての管理は重要で、どこの通路を通ったら安全か、どこで危険な作業をしているかなどは、日々変わったりします。
また夏になると熱中症予防の告知や、冬だと感染症予防の告知など、様々な告知を行い、安全管理を行います。
私も大現場での経験があり、現場監督ではないので職人の管理をしていたわけではありませんが、とても大変だというのは強く伝わってきます。
そこで、OSHA Safety では、日々変わる安全についての情報を、ガイドラインという形でアプリを通して職人全員に伝える事が出来ます。

2. SmartBid(工事の請負業者の調達用のプラットフォーム)

SmartBid

こちらは、施工者側が工事の請負業者(専門業者)を調達する際に、ネット上で調達が行えるソフトです。
手軽に使えて、Dropbox, ConstructConnect, Autodesk BIM 360, Procore などのソフトウェアと連携することで調達に必要な情報を、業者と施工者側で円滑に共有することができるソフトとなっています。
日本では業者リストをエクセルで管理していたり、情報の共有はメールで資料を送るのが主流かと思いますが、業者の経営状況がネットで確認でき、繁忙期かどうか、余裕があるかなどを踏まえた上で、情報の共有(主に設計図の共有)などが行えるのはすごく便利ではないかと思いました。
また、大規模現場だけでなく、地域の工務店が業者を探す際にも活用できると思います。
工務店は馴染みのある業者を使っていますが、少し大きな工事を請負い新たな業者が必要になった時や、馴染みの業者に不満があるときなどに、このソフトを通じて新たな業者を調達できます。

3. PlanRadar(建設プロジェクト・現場用の課題管理システム)

PlanRadar

建設プロジェクト・現場用の課題管理システムです。
IT 業界では、GitHub などの課題管理システムがありますが、それの建設業版です。
ヤフー知恵袋の要領で、課題や問題が発生した際にトピックを立て、それに返信する形で課題や問題が解決できるような仕組みになっています。
文書・図面等の書類も共有でき、オフラインでも動作します。
なお、こちらは、記事の著者である Ibrahim Imam 氏の所属企業のアプリです。

4. Joist(見積もりソフトウェア)

Joist

こちらは見積もり作成の手間を減らし、スピードを早くするためのアプリです。
見積もりから、契約(電子契約)、発注までをこのアプリですることができます。
決済はクレジットカードで簡単に行えることから、中・小規模の現場やリフォームの現場で活躍するアプリです。
日本ですと、株式会社リフィードのイエプロというソフトがあります。
私も使った事がありますが、似たような印象を受けました。

5. FallSafety Pro(足場などの高所からの落下時に、周囲にアラートを発信してくれるアプリ)

FallSafety Pro

このアプリは、足場や鉄骨上などの高所からの落下時、周囲にアラートを発信してくれるアプリです。
一見、何のことか分かりませんでしたが、高所から転落し、誰にも気づかれずに放置され、その後の処置が遅れ、大事に至る事を防止するためのアラートアプリです。
落ちないように、設備を整え、注意喚起を行うことは当然ですが、さらにこのような機能があると万が一に備える事ができますね。
ただ、本当にまずは転落しないようにすることが一番大事です。
このアプリを導入することで、高所からの転落をより意識することになり、実際に転落がなくなればとてもいいですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
日本にすでにあるサービスもあれば、聞いたことがないサービスもありました。
私が面白いと感じたのは、5 番目の高所からの転落時にアラートしてくれるアプリです。
落ちてからでは意味ないのではと初めは思いましたが、応急処置の観点からは大切だと考えさせられました。
色々なアプリがありましたが、現場にとって使いにくいアプリは不要ですよね。効率を上げるために導入したアプリが、実際あまり使われず、今までやっていたやり方の方が良いという事はよくあります。
ただ、そういう考えだといつまでも建設業は変わらないので、海外の事例を参考に使ってみて、トライ&エラーを繰り返しながら最適な方法に進んでいけばいいと思いました。

二上 祥

株式会社ZUMEN 代表取締役CEO

一級建築士、宅地建物取引士。島根県出身。
建設業界の現場で10年以上働いてきましたが、世の中IT・AI・働き方改革と、どんどんと新しい時代に入っているのに、まだまだ古い業界であるという事を日々感じています。

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