海外建設業界

生産性のギャップを埋める為のデジタル・ITの利用状況(イギリス編)

こんにちは。
ZUMEN の二上です。
今回は海外(イギリス)の建設業が抱えている問題を記載したサイトの紹介です。
海外(イギリス)の建設業の現状がどのような状況なのか分かりやすいサイトでしたので、共有させていただきたいと思います。
また、その問題を解決するため、デジタル・IT を利用しているのですが、その現状を調査した内容になっていますので、これからデジタル・IT を業務に取り入れて、業務改善を行いたいと考えている方にとって、とても参考になると思います。

生産性のギャップを埋める為のデジタル・AI の利用状況(イギリス編)についての調査結果
※米 Autodesk 社傘下の PlanGrid 社による調査で、2019 年 5 月から 6 月にかけて、建設業界で働く人 250 人に質問しています。

以上の調査結果のご紹介と、それに対する私の私見について書かせていただきました。
それではどうぞ!

1. あなたの(建設関係の)ビジネスの生産性に最も大きく影響しているのは何だと思いますか?

あなたの(建設関係の)ビジネスの生産性に最も大きく影響しているのは何だと思いますか?

従業員のスキル不足と人材不足が多い調査結果になりました。とても興味深い内容です。
私も現場の最前線で仕事をしていますが、日本でも人材不足は深刻だと感じます。
ですが、従業員のスキル不足というのは意外でした。
その他の項目を見ると、日本で働く私たちから見ても納得の内容だ(同じ問題を抱えている)と思いました。

2. プロジェクトで最も不要な時間だと思うのは次のうちどれですか?

プロジェクトで最も不要な時間だと思うのは次のうちどれですか?

こちらもとても面白い調査です。
2 番目に多かった、ミス・手戻りへの対応は本当に大変です。これらをデジタル・IT でなくせるような取り組みを検討したいと思いました。
そして一番多かったのは非効率な管理プロセス。何の管理なのかは明記されていませんが、建設業は様々なものを管理するのが仕事とも言えます。工程管理、品質管理、安全管理、コスト管理、材料管理、そして人の管理などなど。そのすべてで非効率であるという事だと思います。これらを解決できたのなら、それは素晴らしいことですね。

3. チームの”デジタル効率性”を向上するために導入した技術は何ですか?

チームの"デジタル効率性"を向上するために導入した技術は何ですか?

イギリスではどのようなデジタル・IT を導入しているのでしょうか。
図面共有の為の、ファイル共有ソフトが突出して多い結果となりました。
建築にとって図面が命なのは、海外も日本も一緒ですね。一番わかりやすい結果となりました。
2番目以降はグラフの通りですが、打合せ・工程・見積もりなど、一つの機能に絞ったシステムが使いやすいようです。逆にプロセス全体を管理するソフトウェアは 8%と少ない回答となりました。
また、テクノロジー面には(ほとんど)投資していないという回答が 12%という結果も面白いですね。海外は日本よりデジタル化が進んでいるイメージですが、まだ完全には移行していないという事ですね。
そして注目すべきは、BIM の利用が 39%という事ではないでしょうか。日本の状況を考えても、とても現実的な数値ではないかと思います。
日本でも建設業全体で BIM を推進していますが、完全な導入にはもう少し時間がかかりそうです。イギリスでも 39%止まりという事で、海外でも共通の課題がありそうですね。

4. ペーパーレスで実施しているプロジェクトは何割くらいですか?

ペーパーレスで実施しているプロジェクトは何割くらいですか?

続いてペーパーレスについての質問です。
75%ペーパーレスと答えた人が 15%もいるのは日本の状況を考えると多い数字ではないかと思います。
逆に完全に紙ベースの人も 20%残りました。少しほっとするのは私だけでしょうか。。
しかし建設業の紙の多さは異常ですよね。イギリスの結果を見て、絶対に減らすべきだと思いますし、必ず日本でも減らせると思っています。

5. 今後 1 年の内、イギリスの建設業界で最大の課題となるのは何だと思いますか?

今後 1 年の内、イギリスの建設業界で最大の課題となるのは何だと思いますか?

労働力確保の困難化が 43%で一番多い回答となりました。1 の質問でも人材不足が高い回答となっていることから、とても深刻な状況なのが伺えます。こちらは日本でも同じ状況です。
また経済不安による支出削減が 41%と 2 番目に多い結果となっています。こちらはブレグジットも関係しているのかもしれません。

こちらの調査は一見デジタル・IT の利用とは直接関係ないように思えますが、一番多い回答となった労働力の問題や、賃上げ圧力、環境負荷の小さい工法での施工など、デジタルの活用なしには解決しないと思う項目が多くあったと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
どれもとても興味深い調査内容でした。

日本の状況と似ていると感じたのは私だけでしょうか。
イギリスでも日本と同じような問題を抱えており、これらの課題を解決するためにデジタル・IT の活用は必須という事です。

ですがその利用状況はまだ発展途上ということも見て取れました。
日本の建設業はデジタル・IT 化が遅れているということを耳にしますが、今から本気を出せば海外に追いつくことは十分可能だと考えます。
業界で働く人それぞれが、今までと同じやり方ではダメだという事を認識し、積極的にデジタル・IT の活用を行っていきたいですね。

二上 祥

株式会社ZUMEN 代表取締役CEO

一級建築士、宅地建物取引士。島根県出身。
建設業界の現場で10年以上働いてきましたが、世の中IT・AI・働き方改革と、どんどんと新しい時代に入っているのに、まだまだ古い業界であるという事を日々感じています。

同じ筆者の記事